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[書評]畑村洋太郎氏「失敗学のすすめ」

失敗学のすすめ
失敗学のすすめ
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畑村 洋太郎
講談社
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[購入のきっかけ]
もうすぐ"元"になる上司が、事業部の会議の際に薦めてくれた一冊。初版が2000年11月で、私が持っているのが2005年5月の第24刷。今も新刊在庫があるようなので、ずっと売れ続けているベストセラー。

[概要]
失敗を認め正面から向き合うのではなく、忌み嫌い隠そうとする日本の文化は、創造性を欠落させてしまった。人間がやる以上失敗は必ず起こるもので、責任追及よりも、原因分析・情報共有と伝承に勤めることで、真の創造がスタートする。

[目次]
プロローグ 失敗に学ぶ
第1章 失敗とは何か
第2章 失敗の種類と特徴
第3章 失敗情報の伝わり方・伝え方
第4章 全体を理解する
第5章 失敗こそが創造を生む
第6章 失敗を立体的にとらえる
第7章 致命的な失敗をなくす
第8章 失敗を生かすシステムづくり
エピローグ 失敗を肯定しよう

[感じたこと]
5年ぶりに読み返した。当時よりすんなり読めた気がする。「20歳のときに知っておきたかったこと」と「社長失格」に続けて読んだからだろう。畑村氏も文中に書いているが、失敗体験には人の関心、興味を引きつける不思議な力がある。

(失敗情報を)身近な問題として実感できるのは、(客観的にまとめられたものではなく)むしろ日記のように心理状態まで克明に綴られた記述の方です。

確かに、当事者によって語られた描写は、まるで物語を読むようにドキドキさせられ、夢中になることが多い。

日本でも技術の発展期に活躍し、すでに引退した技術者は、失敗も含めた自分の体験を話したがっていますが、貴重なこれらの話を集める努力は組織としてほとんどなされていません。先達の体験を吸収し、これを次世代に伝えていくのは本来、文化そのもののあり方です。公的機関主導ではなく、それぞれの企業、組織で自発的に発展期の失敗体験やこれを知識化したものを集めることが、次代につながる貴重な財産になるはずです。

今まさに、団塊世代が大量に定年退職する時期をむかえている。畑村氏の言う"本当のベテラン"が、その知識や経験をどう伝承していくか。私のいた中古車業界(※ディーラー)では、定年退職したベテランを嘱託社員として再就職しているケースが多く見られた。しかし、知識や経験の伝承は容易でないため、嘱託社員として実務を続けてもらうことで時間を稼ぎ、その間に別のやり方を模索し、失敗してしまうケースも多いように思う。

インターネットが普及して、個人が誰でも情報発信できる時代になった。ところが往々にして、豊富な知識・経験を持った高齢者は、パソコンなどの情報端末を敬遠している場合が多いと思う。本当に勿体無い。次の世代に失敗体験を伝え、新たな価値を創造する礎となってもらうにはどうしたらいいか。私は、i Padのような、操作が直感的で判りやすい機器の登場が、一つの壁を乗り越えるきっかけになるのではないかと思っている。

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